‘鍼灸治療’ カテゴリーのアーカイブ

養生、セルフケアの心がけ

2009 年 12 月 30 日 水曜日

2009年も残り僅かとなりました。
今年の漢字は、新政権誕生にちなみ「新」だそうですが、当治療院でも新たな試みとして、10月から整体を始めました。
来年は、どんな年になるのでしょうかね?

今年最後の更新となりましたが、簡単な養生法(セルフケア)をご紹介します。
新年を機会に生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?

1.1日の生活リズムに注意
精神的にも身体的にも、忙しい時間と、ゆっくりとした時間のメリハリをつける。
オンとオフのスイッチを上手に切り替えるのがポイントでしょうか。

2.頭寒足熱
人間の身体の基本的な状態ですが、頭熱足寒の人がとても多いです。精神・身体の緊張や疲労によって「気」が上逆して頭熱足寒になり易くなります。
また、最近は、オフィスや自宅などで新建材(合成樹脂製品)の床材が多用されていて、足元が冷え易くなっています。
足首を温める事を意識してみてください。

3.「ほどほど」ということ
食事、仕事、遊び・・・。
過ぎたるは、なお及ばざるが如し。
健康維持には、何事も「ほどほど」がいいですね。

では、良いお年をお迎えください。

整体治療を始めます

2009 年 9 月 30 日 水曜日

10月から、ご要望やお問い合わせの多かった整体治療も行います。

当治療院の整体は、あん摩、経絡ストレッチ、ASTR、操体法などを患者さんの症状に応じて組み合わせる独自の整体法です。
ボキボキ、バキバキの矯正法は行わない安心・安全な治療法です。
是非、お試しください!

五十肩(四十肩)の鍼灸治療とセルフケア

2009 年 7 月 25 日 土曜日

痛くてツライ五十肩(四十肩)。
実は、「冷え」によって起こる痛みの代表的な症状でもあります。
時間の経過と共に自然に治りますが、適正な治療を行わないと痛みが長引いたり、治癒後も肩関節の動きが悪くなってしまうこともあるので注意が必要です。
鍼灸治療によって痛みや拘縮を軽減し、症状の激化を防ぎ回復を早める事が出来ます。
痛みの軽い時期に、早めに鍼灸治療を受ける事をオススメします。

1.五十肩(四十肩)とは
五十肩は「肩関節周囲炎」の一分類とされています。
肩関節周囲炎には、
・肩峰下滑液包炎
・石灰化腱炎
・上腕二頭筋長頭腱炎
・肩関節炎・・・etc
など、様々な病態がありますが、これらに分類されない症状を「いわゆる五十肩」として分類しています。
ここでは、「いわゆる五十肩」について解説します。
 
2.原因
原因は、詳しく解明されていませんが、肩関節周囲の筋肉や軟部組織の老化によるものといわれています。
古典医学では、老化によって気の巡りが悪くなった状態に冷えが影響し、筋肉や軟部組織が硬くなった結果、痛みや可動域制限が表れた状態と考えられます。

3.症状
五十肩は、急性期と慢性期に分かれます。

Ⅰ.急性期(疼痛期)
・腕を上げたり動かしたり、不意の動作でズキンと痛い。
・じっとしていても痛い。
・夜間に痛くて眠れない。
など、痛みの強い時期です。
いきなり痛くなる訳ではなく、最初は「アレッ、腕を動かしづらいな」とか「腕が上がりづらい」などの違和感から痛みに変わって来ます。

Ⅱ.慢性期(拘縮期)
・腕を少し動かす位なら痛くないが、大きく動かすとズキンと痛い。
・痛み少ないが、腕を動かせる範囲が狭い。
肩関節周囲の軟部組織や筋肉が、こり固まってしまった状態です。

4.当治療院の治療法
Ⅰ.急性期(疼痛期)
局所の施術を避け、首~背中、腕や足など遠隔部に「冷え」を改善する鍼灸治療を中心に行います。
炎症や熱感の強い場合は、安静を保ち、氷のうなどで患部を冷やすようにお話します。

Ⅱ.慢性期(拘縮期)
「冷え」を改善する鍼灸治療に加え、患者さんの状態を見極めならが、疼痛緩和や拘縮の改善を目的に局所への鍼灸治療やストレッチなどを行います。
拘縮の強い場合は、関節モビリゼーションなどを行う場合もあります。 

5.セルフケア
痛みの強い急性期は、安静を保ち運動療法などは行わないのが基本です。痛みが徐々に和らいできたら、痛くない範囲で積極的に動かすようにします。
運動療法としては、コッドマン(アイロン)体操、棒体操、指壁運動などが一般的ですが、こちらでは簡単に出来るストレッチをご紹介します。
ASTR(Active Soft Tissue Release)というストレッチ法で、トリガーポイント(硬結・圧痛点)を押圧しながら行うのが特徴です。
トリガーポイントを押圧することにより、少ない関節可動域で効果的なストレッチが可能なので、痛くて大きく動かせなくても、痛みのない範囲内で十分なストレッチ効果があります。

Ⅰ.棘下筋のストレッチ
・肩甲棘(肩甲骨上の背骨寄り~腕の方に行っている骨)の下方にある棘下筋を確認します。
・「小さい前へならえ」の状態から手を外側に開きます。
・棘下筋の圧痛点を押しながら、手を内側(お腹を触るように)に数回ストレッチします。
・圧痛点が複数の場合、押す場所を変えながら上記のストレッチを繰り返します。

Ⅱ.肩甲下筋のストレッチ
・脇の下~肩甲骨の裏側にある肩甲下筋を確認します。
・「小さい前へならえ」の状態から手を内側(お腹を触るように)に持って行きます。
・肩甲下筋の圧痛点を押しながら、手を外側に開き数回ストレッチします。
・圧痛点が複数の場合、押す場所を変えながら上記のストレッチを繰り返します。

冷え性(冷え症)の鍼灸治療とセルフケア

2009 年 6 月 6 日 土曜日

「冷え」は万病の元!
夏場でも薄着や冷房の影響、冷たい飲食物の摂取によって「冷え」を感じる方も多いのではないでしょうか?
当治療院では「冷え取りの鍼灸」として、「冷え性」の改善と対策に力を入れています。

1.冷え性とは
辞書によると「手足や腰などが、いつも冷たく感じる症状。また、その体質」とされていますが、西洋医学では、病気とはされていません。
しかし、古典医学的な立場からは、全ての病気の根源に「冷え」が有ると言っても過言でありません。
「冷え」は、硬くなる、固まる、生体機能の低下として心身に表れます。
 
 ・肩こり、腰痛、関節の痛みや痺れ
 ・頭痛、めまい
 ・不眠
 ・顔や手足のほてり
 ・身体がだるく元気がない
 ・不妊、生理痛、生理不順
 ・下痢、便秘、頻尿
などなど・・・。
「冷え性」が原因と思われる症状は、まだまだ沢山あるのです。
 
「冷え性」は、女性に多いといわれています。
 ・筋肉量が少ないので熱産生が弱い
 ・子宮があるため骨盤内の血管が複雑で血行不良になり易い
などが理由とされていますが、男性でも「冷え性」に悩んでいる方は多いです。
日本人の2人に1人が「冷え性」であるという調査もあるそうです。

2.「冷え性」のタイプ
a.陽気の不足(陽虚)
 元気がない、無気力など、心身を活動的にするエネルギーが不足した状態。
b.血の滞り(血滞)
 手足の末端が冷えるなど、血液の循環が悪くなった状態。
c.血の不足(血虚)
 顔色が悪い、痩せるなど、身体の栄養となる血が不足した状態。
d.水の滞り(水滞)
 水分の取り過ぎ、水分代謝の異常など、身体がむくんだ状態。
e.冷えのぼせ(陰虚)
 上半身がほてり下半身が冷えるなど、寒熱のバランスが崩れた状態。

3.当治療院の治療法
・古典医学的な診察法に基づき、上記のタイプに分類します。
・タイプ別に根本的な「冷え」を取る鍼をします。
・その他の症状を緩和する鍼をします。
・竹塩灸という温灸や遠赤外線治療器で腰や腹部を物理的に温めます。

4.セルフケア
a.バランスの取れた食事
 これが一番大事です。
 ご飯と味噌汁、漬物など陽性の食べ物が主体の日本食がベストです。
b.適度な運動
 筋力アップ、血液循環改善、陽気を巡らすのに効果的です。
c.水分を取り過ぎない
 特にコーヒーや緑茶は、利尿作用があるので身体を冷やします。
d.半身浴
 お腹が浸かる位のぬるめのお湯に、ゆっくりと浸かるのがポイントです。
 陽性の食品である塩(粗塩)を少し入れるのも効果的です。
e.レッグウォーマーと腹巻
 寝ているとき、足の裏は、体温コントロールのセンサーとして働いています。
 足の裏を覆わないレッグウォーマーがオススメです。
 足首、お腹、腰が冷えないようにすることがポイントです。
 素材は、薄くて保温性、吸湿発散性に優れたシルクがベストです。

VDT症候群の鍼灸治療

2009 年 4 月 23 日 木曜日

VDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome)に関して、私なりに考えていることです。
VDT症候群とは、パソコン、テレビゲームなどの端末であるVDT(Visual Display Terminal)を用いた長時間作業により、身体や心などに影響のでる病気で、別名「テクノストレス眼症」とも呼ばれています。
画面を集中して見続けるため、まばたきの回数が減り、ドライアイや眼精疲労の原因となります。
また、長時間同じ姿勢を続けるので、首、肩、腕、腰など、全身症状が表れます。
オフィスなどでは、ペーパーレス化が進み、現代の新しい病気として年々増加しています。

厚生労働省では、VDT症候群の対策のガイドラインとして、

・連続作業時間が1時間を越えないようにする。
・次の連続作業までの間に10~15分の作業休止時間を設ける。
・1連続作業時間内において1~2回の作業休止を設ける。

等の指針を提唱しています。
しかし、実践している人は、殆どいないのではないでしょうか?

長時間のVDT作業は、静的筋緊張、長時間の拘束、上肢の反復作業、光源を見続ける、精神的緊張などにより、人体にかなりのストレスを与えます。「ストレスなど感じない」という人もいるかもしれませんが、誰もが無意識の内にストレスを受けているのです。
長時間のストレス状態が続くと、肩こり、眼精疲労、腰痛、自律神経の不調などのVDT症候群と呼ばれる症状が現れてきます。

そのような人を見ると顎を突き出して背中が丸まり、全体的に縮こまったような姿勢になっているのではないでしょうか?
そのような姿勢は、無意識のストレスに対して身体が反応し、自然に防御姿勢を取っている状態である。と考えています。
また、僧帽筋・肩甲挙筋・脊柱起立筋・広背筋・腰方形筋などの姿勢維持筋は、ストレスなどによる交感神経の亢進で容易に緊張する特徴があります。

内臓ー運動反射の一つに筋性防御と呼ばれるものがあります。腹腔臓器の極度の伸展、炎症により無意識に腹筋が緊張し手で腹部を押さえたり、身体を折り曲げて痛みをこらえる。というもので、腹筋の反射性亢進状態をいいます。
機序は違いますが、VDT作業のストレスに対しても、このような防御反応が起こっているのではないでしょうか?

鍼灸治療は、全身の緊張緩和を目的としたトータル的な治療を行いますので、効率の良い治療法と言えます。
また、厚生労働省のガイドライン通りとは行かないまでも、適度な休息とストレス解消のための軽い運動やストレッチ等のセルフケア実践することが、快適なITライフの秘訣だと思います。

横隔膜を鍛えましょう!

2009 年 3 月 29 日 日曜日

皆さん、深呼吸が出来ますか?
深呼吸(腹式呼吸)が出来ない人、結構多いんですよ。

呼吸には、呼吸筋と言われる横隔膜、内・外肋間筋。補助筋として肋骨挙筋、肋下筋、斜角筋群など複数の筋が関与していますが、一番の主役は横隔膜です。
実際には膜ではなく膜状の筋組織で、牛の横隔膜は「ハラミ」と呼ばれています。

ある医師の講演で、この横隔膜が衰えている人が多いという話を聞きました。横隔膜が衰えると呼吸が早く浅くなり、腎臓に悪影響を与えるそうです。
また、活性酸素の除去能力が減弱し、老化が加速するそうです。
横隔膜を鍛えるには、横隔膜を主に使う腹式呼吸が効果的と言っていました。

血液の体循環量は、

冠状血管 5%
脳 15%
肝臓 26%
腎臓 25%
骨格筋 17%
皮膚・骨・その他 12%

となっています。
臓器の大きさで比較した場合、一番小さい腎臓に沢山の血液が流れています。ということは腎臓が一番、酸素(新鮮な血液)を必要としている訳です。
東洋医学でも呼吸を主る肺は、腎の母とされています。
腎は生命力、成長、生殖の根源である精を蔵しています。腎が衰えると元気がなくなる、病気になり易い、生殖能力低下、各種の老化現象などをおこすので、東洋医学的にも整合性があります。

最近、活性酸素が老化や各種疾病の原因として取り上げられています。
呼吸をしている限り、活性酸素は発生するのですが、余った活性酸素を処理出来ないことが問題なのです。
活性酸素は、化学反応時に働く活性を持った酸素の中間体で、体内の様々な化学反応(代謝)や殺菌に必要なものです。
代謝の過程で余った活性酸素が生じた場合、これを無毒化するSOD(活性酸素除去酵素)という酵素が備わっているのですが、何らかの原因で、その酵素がうまく働かなくなると余った活性酸素は組織を傷つけてしまう考えられています。

その医師の話からは、腹式呼吸が活性酸素を減らす機序は聞けませんでしたが、腹式呼吸には、自律神経の働きを整える効果があるので、その辺が関係しているのではないかと思います。

呼吸を重視する気功、ヨガ、ピラティスや各種の呼吸法など、自分に合って長く続けられる健康に注目してみてはいかがでしょうか?

花粉症(アレルギー性鼻炎)の鍼灸治療とセルフケア

2009 年 3 月 1 日 日曜日

花粉症の皆さんには、嫌な季節になりました。
今年は、全国的に飛散量は少ないようですが・・・。

鍼灸治療での花粉症を含めたアレルギー性鼻炎は、一時的な症状の緩和効果はありますが、なかなか根治の難しい病気です。
西洋医学でも一旦発症してしまうと根本的な治療は、難しいと言われています。

くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの表面的な症状に対する鍼灸治療は、根本的な治療にはなりません。
症状から見ると、気と水分が上に昇り過ぎてしまった状態で、寒・熱・寒熱挟雑などのタイプがあるようです。
根本的に治療するには、これらの状態を引き起こしている本質を治療して、体質改善や身体全体のバランスを整える鍼灸治療法が必要になります。
また、夏にエアコンなどに頼り過ぎすに、十分に発汗して皮膚や粘膜を強くするなど、生活習慣の改善も必要になると思います。

・花粉症の機序

  1. 鼻や口から吸い込んだ花粉(抗原)を異物として感知した白血球が、防御システムを作動させ抗体(IgE抗体)が作られます。
  2. この抗体は粘膜にある肥満細胞の表面に付着。
    そして、再び花粉(抗原)が侵入すると、肥満細胞がヒスタミンなどの化学物質を放出。
  3. ヒスタミンなどの化学物質は、知覚神経や血管を刺激して、鼻粘膜の血管拡張、浮腫、分泌促進、血管の透過性亢進などにより、くしゃみ、水様の鼻水、鼻づまりが発症します。

原因は、遺伝的素因、自律神経のアンバランス、ストレス、排気ガスなどが指摘されていますが、詳しい事は分かっていないそうです。

私は、物心付いた時から40数年間、毎年、花粉症に苦しんでいました。
しかし、気功を始めた翌年は、目の痒み、涙目は、少しあるものの鼻炎の症状がなくなりました。当初は、何かの偶然かと思っていました。
そして、その翌年も目の症状は少しありましたが、鼻炎については無症状で過ごすことが出来ました。
大量飛散する年も何ともなく過ごせているので、本格的な治癒といっても良いと思っています。

臓器は、自律神経により支配されているので、自らの意思で動きをコントロール出来ないとされています。
ただし、肺だけは、呼吸を意識する事により自らの意思で動かす事が出来ます。
それを踏まえると気功の深く長い呼吸法(腹式呼吸)により、肺を介して自律神経が調節され免疫機能が正常に働くようになったとも考えられます。
ただ、それが理由だとすると目の症状もなくなると思うのですが・・・。
または、気功の呼吸法により鼻粘膜や気管支が強化され、花粉に容易に反応しなくなったのか?とも思っています。

・花粉症のセルフケア
花粉症に有効と思われる気功法をご紹介しますが、即効性はありません。最低でも、1~2ヶ月位続けないと効果は現れません。
今から始めると花粉症の時期が終わっていますが、来年に向けて実行してみてはいかがでしょうか?
花粉症以外にも、身体に様々な変化が表れると思います。
継続は、力なりです。

*抱気貫頂法

  1. 両足を肩幅に開きリラックスし自然に立つ。
  2. 両腕の力を抜き(肘を軽く曲げる)両手掌を丹田(おへそから3センチくらい下の部分)の前で上に向ける
    手掌~腕全体に気のボールを持っているイメージをする。
  3. 両手掌を上に向けたまま頭の上までゆっくりと腕を挙上する。
    手掌は、頭部に近付くと自然に下向きになって行き、百会(頭頂部のつぼ)に向ける。
    呼吸は、動作に合わせ腹式呼吸(出来ない場合逆腹式呼吸でも良い)でゆっくりと鼻から吸う。
    天地、周囲の清気(清浄な良い気)をボールに集め、気のボールが大きくなるとイメージしながら行う。
  4. 手掌を下に向けたまま、丹田までゆっくりと腕を下ろす。丹田を過ぎたら自然な立位に戻る。
    呼吸は、動作に合わせゆっくりと鼻から吐く。
    3の動作で集めた気を百会から身体に入れる。
    花粉、鼻づまり、邪気、病気などを湧泉(足底のつぼ)から地中に洗い流すイメージで行う。
  5. 以上の動作を10分間位繰り返し行う。
  • 通常は、鼻から吸って口から吐くのですが、花粉症の場合、鼻呼吸が良いと言われています。
  • 慣れないと息が続きませんが、続ければ徐々に深く長い呼吸が出来るようになります。
  • 動作、呼吸、イメージを合わせること(三調と言う)が大事です。
  • 出来れば毎日、朝と夜。最低でも2日に1回は、行うようにしてみてください。

不眠症の鍼灸治療とセルフケア

2009 年 2 月 22 日 日曜日

立春を過ぎ、暦の上では春になりました。
風は、まだまだ冷たいですが、日差しは徐々に春めいてきています。

春眠暁を覚えず

春は、何となく眠たい季節ですね。
しかし、現代のストレス社会では、不眠症に悩む方も多いようです。
日本人を対象にした調査では、5人に1人。60歳以上では、3人に1人が、何らかの不眠状態であると回答しています。

1.不眠症とは
入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感、意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が出現する病気です。

2.原因
様々な原因があり、症状の一つとてして不眠症を訴える場合が多い。

Ⅰ.ストレス
 ・身体的・精神的ストレスによる緊張状態。

Ⅱ.身体の病気
 ・痛み、かゆみ、呼吸困難、咳、頻尿を伴う疾患。
 ・最近では、睡眠時無呼吸症候群やムズムズ脚症候群によるものも多い。

Ⅳ.心の病気
 ・うつ病、神経症、統合失調症など。

Ⅴ.薬物、刺激物の服用
 ・治療薬の中には不眠になるものもある。
 ・コーヒー、紅茶、タバコなど。

Ⅵ.生活習慣や環境
 ・夜勤、宵っ張り、寝室の温度や湿度、騒音など。

3.症状
睡眠時間が短い、何度も目が覚めるということがあっても、日中に精神や身体の不調による生活の質が低下がなければ、不眠症とは診断されません。

Ⅰ.入眠障害
 ・布団に入っても、なかなか寝付けない。

Ⅱ.中途覚醒
 ・眠りが浅く夜中に何度も目が覚める。

Ⅲ.早朝覚醒
 ・早朝に目覚めてしまう。

Ⅴ.熟眠障害
 ・ある程度眠っても熟睡感が得られない。

4.治療法
Ⅰ.基礎疾患の診断と治療
 ・身体や心の病気が原因の場合、その病気に対する治療を優先する。

Ⅱ.薬物療法
 ・睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬など。

Ⅲ.心理療法
 ・カウンセリング、自律神経訓練など。

鍼灸やマッサージは、全身の緊張を緩めて心身をりラックスさせる効果があります。Ⅰ~Ⅲの治療法と併用する事で不眠症の治療に効果的です。
不眠を訴える患者さんには、頭部のブヨブヨとした浮腫感、左右の肩甲骨の間~背中と腰の境付近の筋肉(脊柱起立筋)にゴリゴリとした硬結(こり)があることが多いように思います。これらの症状を解消する事が、治療のポイントになるのではないかと感じています。

東洋医学の古典には「夜になって眠る時に血が肝に帰る」という記載があります。逆に言うと、肝の作用により全身に送られていた血が、肝に帰れないと不眠になるということです。
何らかの要因によって、心身のバランスが乱れて血の消耗や血の停滞が起こると、肝に血が帰れない状態となります。
鍼灸は、寒熱や気・血・水分を調整し、全身のバランスを整えることで不眠の治療を行います。

5.セルフケア
就寝前に行うリラックス法をご紹介します。
基礎疾患をお持ちの方は、主治医と相談しながら行ってください。
また、痛くない程度に無理のない範囲で行ってください。

Ⅰ.耳のマッサージ
・耳の上部分をつまみ、ねじったり引っ張ったりする。
・しばらく行うと局所が柔らかくなりポカポカと暖かくなる。

Ⅱ.首回し
・一周30秒位、ゆっくりと首を回す。
・力を抜いて口をポカンと開けたまま息を吐きながら。
・重さに任せ、ゆっくりと頭を転がす感じで。
・引っ掛かりを感じる箇所は入念に。

Ⅲ.足裏さすり
・足裏と手掌を重ね合わせ、優しく撫でるように足裏全体をさする。
・足裏と手掌が、一体になるようなイメージで。
・呼吸は、足裏から息を吐くイメージでゆっくりと。

Ⅳ.脱力ポーズ
・仰向けに寝て、手掌が目の裏側に当たるように両手を頭の後で組む。
・脚を気持ちの良い方向に組んでリラックスする。

顎関節症の鍼灸治療とセルフケア

2009 年 2 月 8 日 日曜日

現代の日本人は硬いものを食べなくなり、顎の発達が悪くなったと言われています。
その影響からか、顎関節症でお悩みの方が年々増加しています。

1.顎関節症とは
顎関節や周辺の筋肉などに異常があり、「顎が痛い」「顎が鳴る」「口が開けづらい」などが主な症状の慢性的な疾患です。
20代~30代の女性に多く、上記のような症状の他に首・肩のこりなどの全身症状を伴う場合が多いです。

2.原因
精神的・肉体的ストレスによる「歯の食いしばり」「歯ぎしり」や偏咀嚼による筋肉・関節への負担、不正咬合、外傷などがありますが、私は、精神的ストレスに起因するものが大半だと感じています。

3.症状
Ⅰ.顎が痛い
・顎関節及び周辺の頬やこめかみの痛み。
・口の開閉、食べ物を噛むなど、顎を動かした時に痛む。

Ⅱ.開口障害
・正常な場合、指が縦に3本分以上入るが、1~2本程度しか入らない。

Ⅲ.顎関節の異音
・顎を動かした際、耳の前あたりで「カクカク」「ジャリジャリ」「ミシミシ」といった音がする。

Ⅳ.顎周辺の違和感
・顎の動きに変化が生じて噛み合わせが変わったような違和感を感じることがある。

Ⅴ.様々な全身症状を伴う
・頭痛、首・肩・背中の痛み、腰痛、肩こり、耳の痛み、耳鳴り、耳閉感、難聴、めまい、目の疲れ、歯の痛み、嚥下困難などを伴う場合がもある。

4.顎関節症のタイプ
Ⅰ.筋肉の障害によって起こるタイプ。
Ⅱ.関節包・靱帯の障害によって起こるタイプ。
Ⅲ.関節円板の障害によって起こるタイプ。
Ⅳ.変形性関節症によって起こるタイプ。
Ⅴ.Ⅰ~Ⅳが混合したタイプ。

上記のように様々なタイプがありますが、最近の研究では、筋・筋膜性疼痛(MPS)や線維筋痛症(FMS)と呼ばれる全身症状を伴った「筋肉の障害によるもの」が多いという報告もされています。

5.治療法
口腔外科や歯科などでの薬物療法(筋弛緩薬・局所麻酔、抗炎症薬・抗うつ薬など)、運動療法、スプリント、外科療法、咬合療法などがあります。
全身症状にも対応可能な鍼治療やマッサージは、身体への侵襲も少なく、セルフケアと並行して行う事により治療効果が高まります。

6.セルフケア
咀嚼筋のストレッチが有効ですが、痛みの激しい時は行わないようにしてください。
また、ストレッチの際は、痛過ぎない範囲内で慎重に行ってください。
ご紹介するのは、ASTR(Active Soft Tissue Release)というストレッチ法で、トリガーポイント(硬結・圧痛点)を押圧しながら行うのが特徴です。
トリガーポイントを押圧することにより、少ない関節可動域で効果的なストレッチが可能です。
痛くて大きく開口できなくても、開口可能な範囲内で十分なストレッチ効果があります。

Ⅰ.側頭筋のストレッチ
・こめかみ~耳の上付近にある筋肉です。
・口の開閉で動く場所から圧痛点(押すと痛い所)を探します。
・圧痛点を頭頂部方向に押しながら、口をゆっくりと痛過ぎない範囲で5~6回開閉します。
・圧痛点が複数ある場合、圧痛点ごとに上記の動作を繰り返します。

Ⅱ.咬筋のストレッチ
・耳の穴の前方、頬骨弓という骨の部分の下にある筋肉です。
・口の開閉で動く箇所の圧痛点を探し、側頭筋と同じ要領で口を開閉します。

Ⅲ.内側翼突筋のストレッチ
・下顎角(エラの部分)という骨の部分のう内側にあるので触れにくい。
・下顎角の内側の圧痛点を押しながら、側頭筋と同じ要領で開閉します。

Ⅳ.外側翼突筋のストレッチ
・耳の穴の前付近の深い所にあるので、ほとんど触る事ができません。
・どこも押さずに顎を前方に突き出す、後方に引く(上の前歯を突き出すイメージ)を数回繰り返します。

感冒(風邪)の鍼灸治療

2009 年 1 月 18 日 日曜日

先日、十数年ぶりに風邪(かぜ)をひいてしまいました・・・。
咳が出て何となく寒気がしていた翌日に発熱し、喉や身体の節々が痛くなりました。
「感冒を治せれば、鍼灸師として一人前」などと言われますが、自分で治療をすることにしました。

感冒は、基本的に身体が冷え、それを温めるために自ら発熱している状態なので、身体を温める治療をします。
外界に対する対応機能が低下した「寒」の状態となっているので、その機能を回復させてやれば良いのです。
本治法で全体のバランスを整えた後、頚肩部の反応点に灸をしました。
ついでに、たまたま家にあった咽頭痛や清熱に効果のある漢方薬を服用し、温かい鍋を食べて早めに就寝しました。

熱がある感冒の場合、頚肩部(天柱、風池、風門など)に刺鍼、頚部に散鍼(浅い鍼を不規則に打つ)や水掻きの鍼などで治ってしまうことも多いようです。
しかし、これらの瀉法的な鍼は若い人や感冒の初期など、比較的体力のある場合には良いのですが、体力のない場合に行うと逆に悪化してしまうこともあるので、本治法にプラスして行うのが基本です。

翌朝、咳は残っていますが、熱が下がって喉や身体の痛みもなくなっていました。
「風邪(かぜ)に鍼灸治療?」と思われる方も居るかもしれませんが、風邪の初期段階には、かなり効果があります。